3月は体調不良をこじらせてた分あんまりと思っていたけれど、書き出してみたらそこそこ読んでいたし、今月もいい出会いがあったなとほこほこ。
謎の平安前期 ー桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年
もちろん今年の大河ドラマ「光る君へ」に感化されて買って読んだ。光る君へ面白いですね。
たらればさんがXでお勧めしていたのを見たのと、本屋さんで平積みされているのを見て我慢できなくなった。
私の好きな時代は飛鳥奈良時代で、平安時代といえば十二単と定朝様(じょうちょうよう、平安時代によく作られていた仏像の様式)くらいしか頭になかった。
しかも源氏物語は中高生の頃に授業で嫌々読まされた上、多感な時期に読んだほぼ全年齢オッケー光源氏はそれはもうヤバいイカれた奴に映って心象がかなーり悪い。
ところが、平安時代は貴族女性は十二単を着て貴族男性は独楽浄土に行けるようにお屋敷を豪華にしまくって、男女で歌を送り合い夜は楽しかったり寂しかったりでまた歌詠んで…だけではない、ということをこの本でしっかり学ぶことができた。
奈良時代の貴族女性は宮中でもしっかり地位を持ちバリバリ働いていたし平安初期でもそのような資料が残っているものの、十二単を着てお屋敷でのんびり歌を詠むお姫様が圧倒的に多くなっていってしまった経緯は巧妙に仕組まれていて読んでいて切なかった。
大河ドラマでも描かれている通り、貴族男性も政治的な争いをかなり熾烈に繰り広げており、女性を宮中の重要ポジションから追い出したり摂政関白の地位を得て天皇から政治の実権を実質的に奪ったり、ぼんやり蹴鞠して漢詩読んでるだけの奴らではなかったということがかなり詳細に紹介されていた。
また、平安初期の下級貴族には出世の機会が多くあり様々な立身出世エピソードが紹介されていてワクワクした。貴族女性同様にその道が段々と閉ざされていくものの、何だか歴史って繰り返すよなーをまたここでも強く感じた。
奈良時代から多くの人が思い浮かべるザ・平安時代まで、どのような変遷を辿ってその最中の政治的な機微を知ることで源氏物語だったりがここで誕生するのかぁと納得したり、本そのものが大変興味深くズンズン読み進めていくことができた。
大河ドラマもより一層楽しめるような気持ちになり、私もこの本を勧められるサイドから勧めるサイドになりました。歴史に興味のある方ぜひー!
毛布 あなたをくるんでくれるもの
安達茉莉子さんの著書は以前に「私の生活改善運動」を読んで深く感動し参考になり、勝手に心の師と仰ぎつつ他の著書も読んでみたい!!!と思っていたところに本書重版を知って飛びついた。
SNSで拝見するお姿は凛としていて澄んでいるような印象を受けてとっても素敵な人だなと毎回楽しみにしているし参考にさせてもらっているけれど、そこに至るまでの苦しみや試練の数々がこんなにもあったのかとビックリするようなお話がたくさんあった。
それでも安達さんは生きることをやめず逃げることもせず、傷が深まろうと最終的には向き合って納得する出口を見つけ出しているように見えた。更には本の向こうの人のことを思い毛布という題名をつけるなんて、本当にすごい人じゃんか…と思っているうちに読了。
文章も読ませるというか、気付いたらもう本も閉じられない程に惹き込まれていて、でも読み急いでも読後に絶対何かしらの方針が心の中に立っている。安達さんはこうしていたから、エッセンスを取り入れさせてもらって私はこうしてみようかな、とかが絶対に残る。
それにどんな事柄に対しても深く思索されていて、そのことが細かく丁寧に伝わってくるから私も啓蒙された気持ちになる。こんなに考えたことなかった、私ならどうするだろうとたまに考え込む時間がやって来る。
本当はもっと何か感想や感情があってたくさん書きたいことがあるはずだけど、受け取ったものが大きすぎてまだ上手く形にならない。
好きな作家さんとして改めてひとつ記事を書きたい所存。
千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニアの小説家になった話
SNSで誰かが感想をポストしていたのを複数見て興味が湧いて読んでみた本。
何ていうか、上下方向にかなり激しい人生で、それでもあんなにエネルギッシュに興味関心の方向へ爆進できることがただただ凄すぎて圧倒されていたら読み終わっていた、みたいな呆然とする読後感だった。
内容は題名の通りそのまんまなんだけど、どん底から浮上するきっかけや今の生活のエネルギー源にもなっているルーマニア語との出会いがドラマチックで、ほんと下手な作り話より奇想天外な展開でびっくりする。
現在も引きこもりしている理由が理由過ぎて驚いたし、それでも前向きエネルギーがガンガン湧いて溢れているのがすごくかっこよかった。
尚、ずっと具体的な情報を記載することを避けているのは、どのエピソードを書いてもネタバレになりそうなくらいぶっ飛んでるから。気になったら読んでみてほしい。じゃないともったいない気がする。
私もこれくらい頑張れたら、と引っ張り上げられるようなこともないまま放心しちゃう程の爆裂エネルギーを見た気分。新しい世界の扉が開けた。
巻末の資料も大充実していて、これぞ素晴らしきヲタクの世界…と浸ることもできる。
ころがるいきもの
人生初ZINE。初がこれで良かったなと思った。
例の如く小田原の本屋「南十字」に吸い込まれた(勝手に言っているだけで自らの意思で入店している)際、表紙の可愛さに惹かれたのと掲載されている写真の雰囲気がとっても好きだったので購入した。
初めは友達と共同生活をしている著者のきらさんのほのぼの生活記録かと思いきや、自身の特性や体調のこと、生きづらさについて日記の形で自身と向き合いどう思っているかどう接しているかが掘り下げて書かれていた。
でも綴られている日常は平和そのものな感じがして、安心そのものだと思った。同居の友達との生活を他人ながら勝手に愛おしいと思ってしまい、願わくばずっと平和な日々をと勝手に思ってしまった。
どうして人の生活ってこんなに羨ましく愛おしく見えるんだろう。きらさんはそういう思惑でなど絶対に書いてないはずなのに、隣の芝生はどうあっても青々と茂っている。
へんなものみっけ! 10巻
他の記事でもう散々愛をぶちまけているので割愛。
10巻も好きなエピソードがありすぎて教科書に載せてぇ…と悶えるなどした。
3月も素敵な出会いがたくさんありました。こんなにいい本が読めていい世界だ。
くまふくでした🐻
コメント