好きな服、安心する服

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お洒落は楽しい。自分が鏡に映った時、写真に写った時、少しでも思うように飾れていると嬉しい。
好みやこだわりもあるし、素敵な服やアクセサリーに出会うとふわっと買ってしまう。こういう時思考の重力が突然0Gになるのがほんとこわい。けどむっちゃくちゃ幸せになるし、身につける度むふむふする。

ただ私は欲深く、それだけで人生最高これだけあれば充分です!とはなれなかった。
着飾ることも好きだけど、どちらかというと本を読みたいし旅行がしたい。美術館にも行きたいし、博物館や郷土資料館を見つけると即入館してしまう。
あと食べることが大好きで本当に大好きで、どんなに可愛いイヤリングを置かれても同じ値段であれば多分ケーキセットを選ぶ。だから自然とお洒落の優先順位が下がっていく。

あと、いつもいつも着飾っていたいという訳でもない。
今日は近所のドラッグストアに行くだけなのという日もあれば、満員電車に乗るのにお気に入りの服を着て行くのは服がかわいそう、という日もある。
体調が芳しくない時はとにかく楽チンな恰好がいいし、心置きなくナポリタンが食べたいからソースが少々跳ねても誤魔化せる服がいい時もある。食べるの下手なんです。

そして生まれた、好きな服と安心する服、という我流のスタイル。
どっちも自分の気に入った服であるということは大前提。しっくりこないものを身につけている時の違和感やしょんぼりした気持ちとは積極的に距離を取り、心の平穏を守る。
その中で、着飾ることに特化したもうむっちゃ大好きな精鋭メンバーと、着ていて心地よくちゃんと文明人やれてるよと自分を励ますことに特化したメンバーとに分ける。

着飾る服だけで揃えられたクローゼットはきっと壮観だろうしそこそこ憧れるけれど、ぱっと手に取るのは案外安心する服の方が多いなと気付いてしまった。
あれば安心、少し乱暴に甘えても受け止めてくれる、そういう大らかさに敬意を表して「安心する」という言葉を送らせてもらったのです。

たとえば、ユニクロで買った水色のニット。
きれいな水色がパッと目について買ったけれど、当時は安心する服とか云々とかは気にしてなかった。
けれど、ニットであったかいし主張し過ぎない合わせやすい水色で、気付けば週に1回以上は着ていた。
たくさん私を安心させてくれた分、今は毛玉がかなりできてしまっているけれど、洋服ブラシをかけながら毛玉の軽減を図っている。まだまだ長く甘えさせてほしい。

安心する服は活躍範囲も広げようと思えば結構広い。
お出かけなんだけど、ちょっと天気が悪くて好きな服を着ていくのは少し気が引けるという時、オーソドックスな黒で少し水を弾きそうなスカートが登場する。丈も少し長めでお上品。
このスカートは安心する服チームで、時間とお金をかけて選び抜いた訳じゃない。けれども、お気に入りという大枠から決して外れないように選んで迎えたおかげで、何と好きと安心が交わるところに存在できてしまう。
さっきあげたベン図の交わっている部分がそこにあたる。お気に入りの服というのはやっぱりすごく大事。ここはポイント。


去年結婚式に出席する予定があり、30代になった機会に落ち着いた色のドレスに新調したいと思った。
自分1人で選ぶと理想に突っ走るから母を生贄召喚し、デパートの婦人服売り場をぐるんぐるん見て回った。すると普段は着ないようなペパーミントグリーンのロング丈ワンピースが目に留まった。お洒落な花柄で、割とすとんとしたデザイン。シンプル過ぎず上品で、ドレスではないながらもフォーマルな場にはピッタリだと思った。
尚、私は普段グリーン・花柄・ウエスト位置の分からない服は着ない。グリーンは似合わないと思っていたし、花柄よりももっと不可思議な柄が好きだし、チビゆえにウエスト位置を上に上に持ってって何とかバランスを保っている。お値段もそれはもうすっげえ。
でも他のお店でも色々見てきた中、このワンピースが試着してみてもなお1番好きだった。もうこれしかないと、恋にも似た思いだった。

結果、あったかい〜暑い季節の勝負服はこのワンピースになった。
ドレスを選ばなかったおかげで、観劇やフォーマルな場に行くときはこれを着とけばそれなりに仕上がるようになった。好きでかつ着飾りたいここぞという時に安心する服が爆誕した瞬間だった。
清水の舞台から飛び降りて買ったワンピース、着倒す所存です。

安心する服チームを磐石にすることによって、好きな服を買うときには冒険することもできる。
これ何と合わせよう…と悩みに悩むような不可思議な柄のお洋服がとっても好きで、つい勢いで買ってしまうこともある。舌をべーっと出した化け猫みたいな猫ちゃん達が全面にあしらわれたブルゾンとか。
それでも、安心チームや他の好きチームのメンバーがいるおかげで、何とか合わせてたくさん色んな好きとお出かけすることができている。
好きな服と出かけて、出先で撮った写真の中の私はとっても幸せそうなことが多い。

お買い物の時も、今欲しくて探している服は好きな服なのか安心する服なのかを考えると、安心する服チームのスカートはもうそれなりの数あるからいいかな、とかある程度買いすぎを防ぐことができる。
ミニマリストを標榜している方々よりは服の数が多いかもしれないけれど、どれもこれも精鋭のお気に入り達。長く長く一緒にいたいと思う愛着が、クローゼットを開けると包み込んでくれる。これを幸せと呼ばずして何と呼ぼうか。

こんな感じの服との暮らし方。いかがでしょうか。
くまふくでした🐻

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